YouTubeとアメリカ音楽業界

アメリカ・ユーチューブ
グラフはアメリカ・レコード協会が作成。アップル・ミュージックは全て有料会員。スポティファイは広告による無料会員と有料会員。YouTubeは広告のみ。1000回ストリーミングされて、いくら音楽制作者に払われたかというもの。


先週の17日、YouTubeの音楽に関する全世界の責任者であるリオ・コーエンがブログで、「広告によるサービスは音楽業界を殺すと思う人もいるが、広告は音楽を殺さない」。有料の定額制音楽ストリーミング・サービスに対して、広告で成り立っているYouTubeがいかに音楽業界に金銭的に貢献しているかを強調した。いわくアメリカでは音楽制作者に1000回のストリーミングで3ドルを払っていると。

リオ・コーエンは57歳のユダヤ系アメリカ人。f**kを連発するレコード業界の超大物制作マンだった。エアロスミスの「ウォーク・ディス・ウェイ」をサンプリングして大ヒットとなったRun-D.M.C.を擁するラッシュ音楽事務所から業界に入った。1988年、デフ・ジャム・レコードに参加。2004年、ワーナーミュージックに入り、マイケル・ブーブレ、ジェイムス・ブラントやニッケルバック等数多くのアーティストを育てた。最終的にワーナーミュージック・レコード部門の会長兼最高経営責任者になった。そして昨年(2016年)9月、YouTubeの音楽責任者に就任した。少し異例な転職に音楽業界は驚いたが期待もした。

音楽業界関係者が言うには、「YouTubeは音楽業界で、少し好きな連中もいるが、大半は全く嫌っている会社」。理由はYouTubeで音楽ビデオが流れてもレコード会社には1回の再生で僅かに0.001ドル(約0.1円)しか支払われない。レコード業界はこの支払いが余りにも少ないと非難してきた。これについて、イーグルスのマネージャーで音楽興行界の重鎮アーヴィン・エイゾフは苦言を呈していた。

「YouTubeの親会社グーグルは年間の売り上げが10兆円に達する。この売り上げはYouTubeの広告に依存している。そしてYouTubeのバックボーンは音楽だ。グーグルはYouTubeが昨年(2016年)音楽業界に600億円(1$110円換算)も払ったと(自慢そうに)言っている。だがスポティファイやアップル・ミュージックといったストリーミング各社は(全世界で)4300億円も音楽業界に支払ってくれた。スポティファイやアップル・ミュージックは音楽業界のサポートを得て、音楽のクリエイター達にフェアな支払いをするよう努力した。それに引き換え、ものすごい売り上げがあるのにYouTubeはアーティスト達と利益をシェアしない」

リオ・コーエンの主張に対して翌18日、アメリカ・レコード協会のケイリー・シャーマン会長が反論した。

「YouTubeは世界最大のオンデマンド音楽サービスで、毎月15億人以上のユーザーがログインしています。しかし、音楽制作者への公平な支払いを避けるために、法律上の「セーフ・ハーバー条項」を利用しています。これはミュージシャンを傷つけるだけでなく、音楽業界の回復を危険にさらします。再生される音楽ストリームの数を過小評価し続けています。.世界中で約400ものデジタルサービスへ音楽がライセンスされており、その多くは広告サポート機能を備えています。YouTubeはこれらのサービスよりもはるかに少ないお金しか制作者に支払っていません。リオ・コーエンが主張している1000ストリーミングに対して3ドではありません。その半分以下です。スポティファイの1/7です。YouTubeにとって音楽は重要だと我々は知っています。 YouTubeで最も視聴されている動画のトップ10のうち9本がミュージック・ビデオです。調査会社のIPSOSのデータによると、YouTubeユーザーの82%が音楽を聴くために利用しています」

アメリカでは2016年のレコード売り上げの51.4%がストリーミングによるものだった。実物のCD等は21.8%、デジタル・ダウンロードは24.1%と大きくダウンした(アメリカ・レコード協会調べ)。YouTubeからの支払いが最重要課題になる。
アメリカのレコード業界2016



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