エド・シーランの盗作疑惑

今週のビルボード・シングル・チャートで8週目の1位になったエド・シーランの「シェイプ・オブ・ユー」。作詞作曲家として新たに3名がクレジットされるとラジオ業界誌ヒッツが伝えた。

「シェイプ・オブ・ユー」はスティーヴ・マックとジョン・マクデイドとエド・シーランが書いた事になっていた。新たに加わった作家はカンディ・ブラスとタメカ・コトルとケヴィン・ブリッグスだ。この3人は1999年に全米ナンバーワン・シングルとなるTLCの「ノー・スクラブズ」を書いた。理由は明らかにされていないが、「シェイプ・オブ・ユー」が「ノー・スクラブズ」の曲に大変似ている事のようだ。

カンディ・ブラスはデスティニーズ・チャイルド他に曲を書いている。タメカ・コトルは元エクスケイプのメンバーでラッパーT.I.の妻。ケヴィン・ブリッグスはTLCやデスティニーズ・チャイルドのプロデューサー。

最近は盗作しようがパクろうが、似ていたら裁判をせず、クレジットに加えて著作権印税を払って解決する。

先日亡くなったチャック・ベリーはビーチ・ボーイズの大ヒット曲「サーフィンU.S.A.」が自分の「スウィート・リトル・シックスティーン」に酷似しているとして訴えた。「サーフィンU.S.A.」はリーダーのブライアン・ウィルソンが書いたことになっていたが、結果ブライアンとチャックが2人で共作した事になった。当然著作権印税の半分はチャック・ベリーに支払われる。

サイモン&ガーファンクルのヒット曲「コンドルは飛んでいく」はペルー人作曲家のダニエル・アロミア=ロブレスが南米アンデスの民謡を採譜し、メロディーを整えた。「コンドルは飛んでいく」は大ヒット・アルバム「明日に架ける橋」に収録されているが、当時の作家クレジットはポール・サイモンだけだった。今はダニエル・アロミア=ロブレスとの共作になっている。

2013年の大ヒット・シングル「ブラード・ラインズ」の盗作問題。「ブラード・ライン ズ」が故マーヴィン・ゲイの大ヒット曲「黒い夜(Got To Give It Up)」に酷似しているとして、マーヴィン・ゲイの遺族が曲を書いたロビン・シックとフィーチャリング・アーティストのファ レル・ウィリアムスとT.I.ことラッパーのクリフォード・ハリスの3人を訴えた。マーヴィン・ゲイの「黒い夜」は1977年にビルボード・シング ル・チャートで1位になった大ヒット曲。裁判所は「ブラード・ラインズ」の作家達に6億3600万円を遺族に支払うよう命じた。また今後「ブラード・ラインズ」から得られる著作権料の50%を遺族に分配するようにも命じた。

2015年のグラミー賞で作詞作曲家に与えられる「最優秀楽曲賞」を受賞したサム・スミスの「ステイ・ウィズ・ミー」。ロック・ミュージシャンのトム・ペティ側からクレームがついた。ジェフ・リン(エレクトリック・ライト・オーケストラ)と書いた1989年のヒット曲「アイ・ウォント・バック・ダウン」にそっくりだと。大人の解決で、トム・ペティとジェフ・リンはこの「ステイ・ウィズ・ミー」の作家にクレジットされ、音楽著作権料の12.5%を受け取る事になった。

普通、曲の盗作騒ぎは決着まで時間がかかる。有名なケースではジョージ・ハリソンの「マイ・スィート・ロード」がある。シフォンズという女性グループが歌って全米で1位になった「イカした彼(He's So Fine)」だ。作曲家ロナルド・マックが書き、音楽出版社ブライト・チューンズが保有していた。ブライト・チューンズはジョージ・ハリソンを著作権侵害で訴えた。裁判は10年間にもおよび、ジョージ・ハリソンが敗訴。約60万ドルもの賠償金を払う事になった。

CD時代になった80年代から、アメリカではシングル盤がほとんど発売されなくなった。儲からないからだ。しかしiTunesストアーでのダウンロードでシングル売り上げが復活する。そして定額制音楽ストリーミング・サービスが始まる。先週のバズ・アングル社が発表したストリーミング・ソング・チャートで、エド・シーランの「シェイプ・オブ・ユー」は2052万回聴かれ、1位だった。

盗作(著作権侵害)は長く裁判をやるよりも、共作にする方が簡単な時代だ。往年のヒット曲を書いた作家は、似ている曲があったら大金を手にする事が出来る時代でもある。



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