洋楽天国 パンドラとスポティファイ、暗と明
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パンドラとスポティファイ、暗と明

先週、インターネット・ラジオ最大手のパンドラと定額制音楽ストリーミング・サービスのスポティファイが、ラジオ業界誌ヒッツや音楽業界紙ビルボードや音楽業界専門サイトのミュージック・ビジネス・ワールドワイドで話題になった。

パンドラの場合は身売り話だ。下のグラフにあるように、売り上げ(青色)が伸びても赤字(紫色)が増える。
パンドラ業績2016

ミュージック・ビジネス・ワールドワイド誌はパンドラが投資ファンドのKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)から165億円(1$110円換算)の戦略的資金調達を行ったと報じた。パンドラは1月に、2000人強の従業員の7%を解雇すると発表した。赤字から脱却したい。この3月からはスポティファイやアップル・ミュージック同様、9.99ドルの定額制音楽ストリーミング・サービスも始めた。しかし2014年に37ドルの高値を付けたニューヨーク証券取引所の株価も先週末は10ドルを割った。

パンドラを買いたいのは衛星ラジオ「シリウスXM」の主要株主であるメディア大手のリバティ・メディア社だ。2015年、リバティ・メディアはパンドラの1株を15ドルとし、総額3740億円で買収するという提案を示した。しかしパンドラはこの提示金額を飲まず、破談になった。パンドラの役員会は1株は20ドルの価値があると主張した。リバティ・メディアのグレグ・マッフェイ最高経営責任者は当時の提案が高すぎた。今なら1株10ドルだったら買うと言う。

一方スポティファイは、今まで何度も噂になったが、この年末か遅くとも来年(2018年)の早い時期に、ニューヨーク証券取引所に上場するという。ラジオ業界誌ヒッツによると、企業価値は1兆4300億円(1$110円換算)になるという。大型の上場案件には違いない。下のグラフは全世界で1億という定額制音楽ストリーミング・サービスの有料会員の占有率だ(2016年末時点)。スポティファイは43%を占める。グーグル・プレイやアマゾン・プライム・ミュージックはその他(Others)だ。フランス生まれのディーザーが「高品質オーディオ」を売りものに健闘している。

スポティファイ・シェア


スポティファイが、2年間にも及ぶユニバーサルミュージックとの交渉の結果、複数年の契約が決まったとラジオ業界誌ヒッツが伝えた。主な点は、アルバムについて有料会員は発売時から聴く事が出来るが、CMを聴く事によって会費を払っていない無料会員は発売時から2週間は聴く事が出来ないというもの。

新聞ニューヨーク・ポストは先週14日、ワーナーミュージックがスポティファイと6月中にも長期契約を結ぶだろうと報じた。残る大手はソニーミュージックだけになった。アメリカのレコード会社の売り上げはストリーミングが50%を超えたと、最近アメリカ・レコード協会が伝えたばかりだ。レコードのビジネス・モデルは大きく変化している。

ところでレコード会社大手はスポティファイの未公開株を保有している。スポティファイがスウェーデンで起業した時に担保したようだ。EMIミュージックが保有していた1.9%を含めるとユニバーサルミュージックが6.7%。ソニーミュージックはBMGミュージック分を含めると5.8%。ワーナーミュージックが3.8%を保有する。スポティファイの株式上場後、ユニバーサルミュージックの親会社のフランスのヴィベンディとソニーミュージックの親会社の日本のソニーの含み益はどのくらいになるのだろう。



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